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消費税の課税期間の短縮で手続き漏れの状態を回避!

 

みなさんこんにちは、滋賀県大津市の税理士・社会保険労務士の山本哲平です。

税務上の各種の届け出手続きの中でそれを失念していた場合のダメージが大きいのが消費税です。

 

原則と簡易課税・輸出免税売上や大きな設備投資がある場合の還付など、いろいろと会社の状況によって適切な方法が変わってきます。

現状(免税事業者or課税事業者、原則or簡易など)並びに今後(大きな設備投資の予定がある。輸出売上が増える。など)をしっかりと確認し、適切な方向性を検討し、そして、忘れてはいけないのがその方向に行くための必要な手続き(各種の届出)を期限内に忘れずに行っていく必要があります。

 

結果的に予想が外れるのは仕方ないと思いますが、これらの確認ができていなかったことから必要な手続きを失念していた場合にはかなり後悔すると思います。

 

そういった届け出を忘れていた場合の救済措置として使えるかもしれないのが消費税の課税期間の短縮の制度です。

通常の課税期間は事業年度(1年間)です。

個人事業主であれば1月1日から12月31日、法人であれば定款で定めた事業年度の1年間が消費税の課税期間となります。

その課税期間を1月or3か月単位に短くするのが課税期間の短縮の制度で毎月or3か月ごとに消費税の確定申告を行う制度です。

 

なぜこの制度が救済に使えるかと言いますと、消費税の各種の届け出の期限が課税期間単位で設定されているからです。

課税期間を短縮することで、「課税期間の開始前」という各種の届出書の提出が可能な状態を作り出して、失念した各種の届出をするという高等テクニックです。

詳しくは具体例を見てください。

 

具体例 A株式会社(製造業)

2019年7月10日時点

・事業年度(消費税の課税期間)4月1日~3月31日

・簡易課税制度を選択中(基準期間の売り上げ並びに今期の売り上げの予測ともに4000万円)

・2019年の10月に工場を増築並びに機械の購入で5000万円の設備投資を予定。

・税率は10%で試算

     簡易課税の場合

4000万円×10%×30%(みなし仕入れ率70%で計算)=120万円の納税

 

     原則の場合

・4000万円×10%=400万円(売上分の消費税)

・5000万円×10%=500万円(設備投資分の消費税)

・4000万円×10%×50%(みなし仕入れ率よりも経費率を低く設定)=200万円(材料仕入れや消耗品費・光熱費等の各諸経費の消費税)

・400万円―(500万円+200万円)=△300万円

 

     ①―②=420万円

 

明らかに原則方式の方が有利です。

しかしながら、すでに「簡易課税制度」が適用される事業年度(課税期間)がスタートしてしまっています。

こういった場合に課税期間の短縮の届け出をするとこのように事業年度の途中からでも原則に戻せます。

 

・7月10日に「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出して課税期間を短縮し、その後の課税期間を4月1日~9月30日、10月1日~12月31日(以降、3月ごとの課税期間)とします。すると次の課税期間の開始が2019年10月1日になりますのでそれまでに「簡易課税選択不適用届出書」を提出すれば10月1日から原則方式に戻ることができますので多額の設備投資に伴う消費税の還付を受けることが可能となります。

 

(注)このように課税期間の短縮を使うことで簡易課税から原則に事業年度に途中で戻すことはできます。なお、この事例のような場合(1000万円以上(高額特定資産)の設備投資)には、3年間は簡易課税制度を再度適用することができなくなりますので、このあたりも含めた慎重な判断が必要となります。

2019年07月10日 11:49